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2025年5月2日金曜日

女性限定公募と性自認

 多様性を増やすために理工学系の女性教員・女性学生を増やしたい,その理念も重要性もわかるのだけれど東工大(今はサイエンストーキョーですね)みたいな知名度も力もある大学が少ないパイを根こそぎ奪ってしまうと,地方国立大みたいな小さい大学はタダでさえ少ない女性教員がゼロになってしまう.富める東工大のみますます富んで弱小地方大学の多様性なんてどうでも良いというのはなんだかなぁ,と思ってしまう.

地方国立大でも女性教員を増やすことは重要なわけだが,せっかく育てた女性教員も東工大に取られてしまうので,某大学ではついに性自認女性なら女性限定公募に応募できるという事になってしまった.ある意味パイを増やす努力なのだろうけれど,なんか対応策が斜め上なような….


別のとある大学の理工学部の先生は提携校などで「女性が理工系に進む選択肢もあるんだよ」と講演会を地道に続けた結果,20年くらい前は女子学生は学科で3~5人ぐらいしかいなかったけれど今は10~15人くらいに増えたよ,とおっしゃっていた.本当に必要なのはこういう地味な努力の継続とそれを周りが支える事ではないのか.

2025年5月1日木曜日

とあるほぼ助教の准教授公募戦線記録

これまでに出した公募の結果はまだ一段落していないけれどまとめてみる.検討したけれど出していないものもあげます.

スペック
・男
・集積回路の物理設計よりの CAD 屋.回路設計もチップ設計もするよ
・応募時の業績:論文誌9本,レター3本,国際会議34本,その他
・科研費は若手x2,共同研究x4,分担が科研費とか共同研究などでいくつか
・任期2年+1年x3再任有りの3年目.肩書きは講師だけれどほぼ助教だこれ.(英語の肩書きは"Assistant Professor (non-tenure-track)"だ)

こだわったところ
・集積回路設計,特に CAD に関わりたい
・お金は取ってこれるので地方国立大とかがいいのでは,と思っていたけれど大小問わず国立大学は経営も厳しいし任期制で揉めているし私大の方が現実的か.(実際自分も被害にあったし)
・西日本ならいいな
・ボス先生の「次の職探しなさいよ」というプレシャーをのらりくらり躱しながら3年ぐらいかけて転職するつもりだった

2023年前期 国立大1
・先方の大学の先生から「公募やっているので是非うちを受けてください」と教えていただく.
・トランジスタレベルの回路設計を教えられる人を探してるらしい.
・しかしこちらの事情で応募する気持ちにならなかった.
・無事にいい先生が見つかった.ご迷惑をおかけしなくて良かった.アナログ回路の専門家だったのでドンピシャだったと思うし,私が応募しても到底太刀打ちできなかったと思う.

2023年12月 国立大2
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援2」
・JRECIN で再公募していたので応募.多分通らないだろう.
・知らない先生ばかりなのがネック.
・年始に書類で落ちたと連絡をいただく.

2024年1月 公立大1
・JRECIN で再公募していた.今ボス先生の卒業したラボの後輩の先生がいるらしい.
・今までお世話になったことの無い土地の公立大か,と思ってしまい結局応募しなかった.
・友人が応募していて,4月に着任していた.すばらしい.

2024年6月 国立大3
・JREC-IN を見て応募する直前まで至った.
・「通信工学」と「電子機器」を教える事が求められており,シラバスを読むと前者はフーリエ変換,後者は電力変換装置で実務家の方が担当しており,前者はともかく後者は教えられないのでは?と思って諦めてしまった.
・大学とは直接関係ないけれど旅行のたびに地元の人々の温かい様相に驚かされる.コレが幸福度上位県の力か….

2024年6月 国立大4
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援2」
・JREC-IN を見て応募.8人(!)募集していた.
・メール応募したら正式な送付先では無く「問い合わせ先」に送っていたらしい.問い合わせ先からは何も返事なく,締め切り10日ぐらい経って自分が気づいて正式な送付先に連絡した.「正式な送付先では無かったけれど,問い合わせ先に送っていたことが確認できたので受け付けます」とのことだった.大変申し訳ありません...
・応募後2ヶ月後に面接の連絡.(あまりに遅くて落ちたと思っていた)
・面接は9月頭.研究内容20分,模擬講義10分(英語),Q&A30分.
・英語の模擬講義だがすっかり忘れてスライド日本語で作ってしまった….発表5分前に気がついたのでスライドそのまま英語アドリブで強行してしまった.
・研究の柱が少ない事,物理設計寄りの CAD 屋さんなのに工場にアクセスできていないのは厳しい事,企業との共同研究・競争的資金獲得が弱いことなど指摘された.あと分野外の人に伝わる説明にできていないと指摘されてしまう.
・先にあった私大↓の時とは異なり,全力で受け答えできたか怪しい.落としたときに悪く思われないように優しく面接されている気遣いを感じた….
・会場入り口に「受付」があったのだが,机の上に紙に5人分ぐらいの名前とおぼしき物が.
・10月頭に非公式ルートで採用されたという噂がくる.公式は??ボスに報告したら別の先生に教えてもらっていたから知ってたって.公式は????
・先方の先生からの連絡は12月下旬,事務からの連絡はなんと1/31でござった.事務からの連絡は遅すぎて先方の先生もびっくりしていたみたい.
・2回でかいヤラカシをしていて事務能力皆無をアピールしてしまったのに,良く採用したな….

2024年7月 私立大1
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援1」
・JREC-INを見て応募.新学科を作るとのことで,3分野3名を募集していた.
・知らない先生ばっかりなのがネック.
・応募後1週間で面接の連絡.面接は8月末.抱負20分+模擬講義10分+Q&A30分(実際は40分ぐらい).
・一番バッターなのに時間になっても始まらなくてかなり焦る.(5分ぐらい遅れた)
・ボコボコにされ,立ち向かってまたボコボコにされた様な感じ.
・模擬講義にて:「なんでAから説明したの?うちの学科ではBから説明するのだけれど(新設学科で「うちでは」と言われましても)」「Bについてxxとかyyはわかる?(普段使いしていない未予習項目について聞かれましても)」
・「仮に採用された場合,応募者が本学に望むものはありますか」という質問がでたのが興味深かった.
・私の応募した分野の候補者は2名だった(他は3名).先方の致命的ミスでちらっと候補者のお名前が見えた….こういうコトされるとこちらも心穏やかに面接受けられないし結果も受け止められないなぁ.模擬講義のテーマから察するに私は本命ではなくてキープ君ってことだし…?
・10月頭にお祈りメール.

2024年8月 国立大3
・「2024年6月 国立大3」の再公募がかかっていた.

2024年9月 国立大4
・「2024年6月 国立大4」の再公募がかかっていた.
・教授,准教授,助教若干名(3名)とのこと.

2025年x月 公立大2
・「大学・高専機能能力強化支援2023年支援1」
・かなり注目をしていたのだが,学部新設があるからか進展がない….新学部作る場所で議会と揉めて開設を1年遅らせているし.
・中の人に「公募かかったら応募しますよ」という話をしていたのだが,結局「国立大3」が先に決まってしまった.
・揉めて開設を遅らした議会が悪い.

2025年3月 国立大4
・「2024年9月 国立大4」の延長がかかっていた.
・教授,助教 (2名)とのこと.どれだけ人が集まらないんだ….

感想
・理工系の教員公募は多かった.これは国の施策で理系学部の新設や文系学部からの転換を支援しているとのこと.「大学・高専機能能力強化支援」というものだ.

・論文数は重要.独りでコツコツ研究していても論文数は伸びないので,チームを組んで研究をしていかないとこの先生きのこる事は厳しいと思う.前職では採用時及び任期更新の度に「君の業績では次の就職先を見つけるのは相当厳しいぞ」とボコボコに言われていた.

・教員が筆頭で論文を書く是非については意見が分かれる.私は教員が筆頭で論文を書くのは学生指導をしていないと同義で情けないことだと思っている.一方で,任期付き教員に指導される学生は教員が転出すると指導者がいなくなってしまい相当かわいそうなので,任期付き教員に学生指導させるのは悪手だと感じている.デッドロックだ.どうしたらええんや.(全部任期付き教員制度があかんのや)

・Web of Science,Scopes に掲載されている本数を書かせる公募も多い.T-SLDM は掲載されていないから投稿するのはお勧めできない.IEICE Trans. は投稿しても大丈夫.

・採用の条件に引用数を重視する所も.論文自身の h-index や g-index,論文誌のインパクトファクターなど.ドメスティック論文誌は数値が小さかったりそもそも数字が無かったり.ツライ.
 
・競争的資金は筆頭のみ記載させる公募も多い.なので転出する可能性の高い若手を筆頭にしたほうが業績としてはよい.教授が筆頭になって助教が実務を担当するのはつらすぎるのでやめてね….

・前職の先生曰く,業績はもちろん見るけれど,模擬授業の質によって順位が繰り上がることもあるし実際繰り上がったこともあるそうだ.大学や学部のポリシーにもよるだろうけれど,模擬授業も大切かも.

・大学によっては Word のフォーマットが謎すぎて仕事量が多かったり.一種の参入障壁では.

・Web 応募,メール応募に対応している大学が多かった.DX だ.簡易書留で応募書類+論文5本とか送ると送料が1000円超えてくるからありがたい(昔は別刷りすべてを箱に詰めて送ったとも聞く). 来校が厳しかったら Web 面接しますと言われたこともあった.対面で出かけたけれど.

・個人的に,県立市立大学,私立大学はその地域への貢献を考えてしまうので,応募に躊躇してしまう.

・あくまで小手先のテクニックだけれど,大学や学科の理念,長中期目標,関連するキーワードを応募資料・発表資料に混ぜ込むのも手かもしれない.模擬講義では関連講義との繋がりを説明するのも手かもしれない.これは普通の就職活動も同じだな.

過去の記録はこちら

2024年9月15日日曜日

大学・高専機能強化支援事業と教員の任期

 大学・高専機能強化支援事業は8年から10年の時限付きの事業.文系学生の定員を理系に転換する事から,事業の期間に文系教員のポストを理系教員に転換する事が想定される.一方で大学によっては支援事業が終わったら理系教員をサヨナラしてしまう大学もあるかもしれない.

JREC-INで"機能強化支援事業"で検索すると,現地点は12大学・高専にて公募があった.教員の任期を調べてみると以下の様な感じ.

任期あり,テニュアトラック以外(=再任なし):7
任期あり,テニュアトラック:3
任期なし:4

テニュアトラックをどうカウントするが難しいが,任期なし使い捨てポストが半分を占めるのはちょっとお辛いな.事業が終わったら拡大した学部・学科をどうするのだろう.(教員候補者なんて畑から生えてくるってか)

宇部高専制御情報工学科の公募,1年4ヶ月だけ働いてくださいはひどすぎる気が….一方で石川高専の※は力強すぎて涙が出てくる.

・物質工学科の公募【特命助教】(宇部工業高等専門学校)
> [契約期間]
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 令和6年11月1日~令和9年3月31日。ただし、業績等を勘案して、令和11年10月31日までの延長があり得る。
> 事業年度ごと(当該年の4月1日から翌年の3月31日まで)の更新となります。

・和歌山大学システム工学部 情報科学、情報工学、人間情報学、およびその関連分野 講師または助教(テニュア・トラック制)3名の公募【大学・高専機能強化支援事業】(和歌山大学)
> [契約期間]
> 講師相当
> 任期あり - テニュアトラック
> 5年
> 助教相当
> 任期あり - テニュアトラック
> 5年
(4年経過後にテニュア審査に通ればテニュアが付与されるらしい)

・制御情報工学科の公募【特命准教授・特命助教】(宇部工業高等専門学校)
> [職種共通]
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 令和6年12月1日~令和8年3月31日。ただし、業績等を勘案して、令和11年3月31日までの延長があり得ます。
> 業年度(当該年の4月1日から翌年の3月31日まで)ごとの更新となります。

・横浜国立大学教育推進機構 特任教員(准教授、講師又は助教)の公募 (横浜国立大学)
> [契約期間]
> 職種共通
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 2025年 4月 1日から2026年3月31日まで
> 勤務成績により、年度ごとに更新の可能性有り。ただし、最長で2030年3月31日を限度とする(当初の雇用契約では最長でも2030年3月31日を限度とするが、予算の状況及び勤務成績を含めた勤務状況等に応じて2033年3月31日を上限として再採用の可能性あり)。
> ※雇用契約の更新の有無については、期間終了 30日前までに通知する。

・九州大学システム情報科学研究院 准教授(特定業務プロジェクト教員)の公募【主に工学研究院応用化学部門分子生命工学講座にて従事】
(九州大学)
[契約期間]
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 任期5年(審査により、最長2032年度末まで雇用期間を延長することがある。職階上の昇進なし。)

・筑波大学図書館情報メディア系准教授または助教の公募(行動経済学)(筑波大学)
> 准教授相当
> 任期なし - テニュアトラック以外
> 試用期間なし
> 助教相当
> 任期あり - テニュアトラック
> 5年間
> 【有期労働契約を更新する場合の基準】
> テニュア獲得(任期なし)時を除き、有期労働契約の更新はありません。

・石川工業高等専門学校機械工学科教員公募(石川工業高等専門学校)
> [契約期間]
> 任期なし - テニュアトラック以外
> 原則任期は付さない。ただし,博士の学位を取得見込みの場合(助教に限る)のみ,採用日から3年間の任期付き採用とし,任期中に学位を取得した場合は,任期を付さない教員となる。
> ※「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」の事業期間にかかわらず,原則任期は付さず,当該事業終了後も継続雇用します。

・石川工業高等専門学校建築学科(2分野)教員公募 (石川工業高等専門学校)
> [契約期間]
> 任期なし - テニュアトラック以外
> ※「大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」の事業期間にかかわらず,原則任期は付さず,当該事業終了後も継続雇用します。

・高度情報(人文情報学)特定プロジェクト教員(准教授または講師) 1名 (九州大学)
>【雇用期間】
> 任期5年(審査により、最長2032年度末まで雇用期間を延長することがある。職階上の昇進なし。)
> ※ただし、本学における通算契約期間は10年を上限とする。

・特任教授の公募(ネットワークデザイン学科・自然言語処理・2026年4月任用)(明治大学)
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 任期5年(2026年4月1日~2031年3月31日)。

・専任教授の公募(ネットワークデザイン学科・エッジAIシステム・2026年4月任用) (明治大学)
> [契約期間]
> 任期なし - テニュアトラック以外

・特定プロジェクト准教授の公募(高度情報専門人材)(九州大学)
> [契約期間]
> 任期あり - テニュアトラック以外
> 任期5年(審査により、最長2032年度末まで雇用期間を延長することがある。職階上の昇進なし。)

2024年9月13日金曜日

大学・高専機能強化支援事業の選定結果から公募のかかる大学を予測する(?)

大学・高専機能強化支援事業のおかげで特定成長分野に助成金が交付されるのだが,採択された大学のリストを見ると将来の公募の動向を把握できるかもしれないと思った.

あくまで私の分野の話だが,2023年に採択された大学が今年(2024年)公募をかけていて,それらは2025年以降の着任を想定しているように見える.この傾向が続くのであれば,現在(2024年)に採択された大学は2025年に公募をかける事が予測できる,かもしれない.例えば2024年に京都大学が支援2ハイレベル枠に選定されている事から,2025年に複数人の公募がかかる可能性が予測できる.❤京大大好き❤な人は,2024年の公募戦線に出撃するのはやめて,2025年の公募戦線に参戦するのがよいかもしれない.

ただし特定成長分野とは「デジタル・グリーンを中心とした成長分野」であり「理学関係・工学関係・農学関係分野」とのことなので,どの分野に力を入れるかは大学による.

支援2は大学・高専名しかわからないが,支援1であれば改組後の学部・学科名も記載されているので,もう少し精度高く公募がかかる分野を予測できるかもしれない.

大学・高専機能強化支援事業は原則2025年度までとのことなので,2026年の公募以降は正常に戻ってしまう可能性がある.公募戦線を考えている人は,乗るしかない、このビッグウェーブに!!(2023年に認可された大学が2024年9月地点で未だに公募出していなかったりもするので,スパッとなくなる事はないかもしれないが)

追記:
学位授与機構のHPに,各大学がどのような内容で改組をするか示して資料が公開されている.
https://www.niad.ac.jp/josei/report/r6selection/

京大だと工学部電気電子工学科,情報工学科の定員20名増,研究室4増,教員無有期4名,有期8名増とある.一方で支援1の北陸先端科学技術大学院大学は教員の増員については述べていないから増員しないのかしら.

2024年9月12日木曜日

大学・高専機能強化支援事業

簡単に言うと,国の施策として大学の理工系の学生を増やす金銭的な支援をするよ,と言う話みたい,読売新聞の記事がまとまっていてわかりやすいと思う.


支援の内容は2種あって,支援1は学部再編等による特定専門人材への転換(公私立大学が対象),支援2は高度情報専門人材の確保に剥けた機能強化(国公私立大学・高専が対象)とのこと.支援1は学部再編とに必要な経費の補助に20年(x8年?),支援2は学部・研究科の定員増に伴う体制強化にと高専の学科コース新設拡充に必要な経費の補助に10億円(x10年?)支援されるそうだ(ハイレベル枠は20億円程度支援).

国立大学について絞ってみると,全国86校あるなか,2023年度選定で37校,2024年度選定で18校選ばれているらしい.半分以上ということか.

読売新聞の記事によると,東京23区の大学は学部増設の規制がかかっているらしくこの施策には応募できないとある,けれど東大とか東工大とか選定リストにあがっているのね.文系の定員を理系にスライドするのだろうか.

文科省の説明はこちら

・成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援について

・「大学・高専機能強化支援事業」の公募選定結果について(報道発表資料)

理系としてはありがたい話な気もするけれど,この施策で採用された教員は「どうせ彼・彼女は機能強化支援枠だし」と言われるのかも,と思うと悲しい….(悲しいけれど似たような話を聞いたことがあるので)
まあコレも一種の飴と鞭アファーマティブアクションってことか.

2023年4月29日土曜日

研究費と機材とその移管の話

大学教員として活動するためには,様々な研究費を獲得する努力と,必要に応じて大学のポストを転々とせざるを得ない事がある(その証拠に,運営費交付金は右肩下がりだし,任期付きポストも増やすインセンティブがあると聞く).結果的に研究資金と研究機材を抱えて大学間を右往左往する羽目になるのだが,大学や研究契約内容によっては研究資金や研究機材の移管ができず置いて行かざるを得ないケースがある.

正確なことはわかっていないのだが,「研究契約の主体」と「資金や機材の寄付の可否」がポイントなのだろうか.

あくまで私の事例だが,
最初の引っ越し:国立大→私立大
経費:科研費は移管.共同研究費は移管できなかったと思う
機材:科研費,学内経費,共同研究費すべてを「寄付」と言う形で移管

次の引っ越し:私立大→私立大
経費:科研費は移管.共同研究費は移管できず,残るボス先生に移管
機材:科研費のみ移管.学内経費,共同研究費は移管できず(事務的には機材は「私がいた部屋の備品」で教員に所属していないので移管という考えが無い)
面白かったのは,国立大→私立大で移管した機材も,科研費と学内経費の分は移管できるが,共同研究費は移管できなかった事.受け入れはできるが持ち出しはできないの??!?

将来の引っ越し:私立大→???
経費:公的資金は移管できる.共同研究費は移管できない.
機材:公的資金は移管できる.共同研究費は移管できない.
とのことらしい.

任期付きポストでも研究費取って来いよでもいいのだが,任期切れたら持ち出しできませんは勘弁してほしいものよ.

2023年4月27日木曜日

とある助教の公募戦線記録(2)

これまでに出した公募の結果が一段落したのでまとめてみる.検討したけれど出していないものもあげます.

スペック
・男
・集積回路の物理設計よりのCAD屋.回路設計もするよ
・応募時の業績:論文誌6本,レター3本,国際会議20本,その他
・科研費は若手x2,共同研究x2,分担がいくつか
・任期5年再任有りの3年目

こだわったところ
・集積回路設計特にCADに関わりたい
・PIは,私が知っている教員か,外部資金などを取っている教員を希望した
・お金は取ってこれるので地方国立大とかがいいのでは
・理想は関西圏だけれど西日本ならいいかな
・2年間ぐらいかけてのんびり就活する予定だった

2020/? 公立大
・先方のPIから「うちに来ない?」と連絡がきた
・以前も公募があったが学会で「アナログ回路の人が欲しいんだよね」と言われたので応募を止めた所だった
・任期付き助教?
・2018年の公募で事前にお断りされて,転職直後に応募してよと言われても….

2021/8 私立大
・教授,准教授,もしくはテニュア准教授,「若干名」
・分野は集積回路全般なので問題なさそう
・前回就活時,学会で「数年後公募あるから応募したら?」と情報をもらっていたので応募
・応募後2週間ほどでお祈りメール
・落ちた理由は業績が足りないとの事 (事後に指摘された)

2021/10 私立大
・講師(任期付),2年+1年x3のようだ.5年が上限
・分野は集積回路全般なので問題なさそう
・英語講義を6コマ担当するとのこと….研究できるのか?
・応募2週間後に面接,ボコボコにされる
・面接2週間後に内々定

2021/10 国立大
・准教授
・分野は集積回路全般,だけど本命は超伝導とか光コンピューティングみたい
・書類出そうと思っていたが,講師が先に決まってしまったので見送った

感想
・意外に教育歴は見られる?面接で「今大学で教えている科目の演習科目やってほしいな」と言われた
・でも「演習科目やってほしいな」は別の先生から「いらん」と言われるなど
・現在の担当科目名だけでなく内容も書いた方が面接の時の議論のネタになるからよいみたい
・JRecinの過去ログは消えるのでPDFは保存しておくべき
・(本公募ではなく)知り合いが受けた公募では,JRecinでは「再任あり」とあったが面接では「再任無し」になったケースがあったと聞いた,で蹴ったらしい
・上げるつもりはないので転職を考えておきなさいと言われています,厳しい(>_<),が業績ないもんな
・准教授ではなく講師(任期付)なのは察してください.着任してから理解したけれどほぼ助教だこれ…

過去の公募戦線ログ

2019年4月5日金曜日

とある助教の助教公募戦線記録

これまでに出した公募の結果が一段落したのでまとめてみる.検討したけれど出していないものもあげます.

スペック
・男
・集積回路の物理設計よりのCAD屋.回路設計もするよ
・応募時の業績:論文誌4本,レター1本,国際会議10本,その他
・任期5年再任有りが再任無しになっていたので仕方なく公募戦線へ再挑戦することに
(再任については私の勘違いでは?という話もあるとか)

こだわったところ
・集積回路設計に関わりたい
・PIは,私が知っている教員か,外部資金などを取っている教員を希望した.

2018/8 国立大
・任期付き助教(5年,再任無し)
・研究室の指定有り
・分野は少し違う.分野はこちらが合わせる事はできそう
・応募後,8週間ほどでお祈りメール

2018/8 公立大
・任期付き助教(5年,再任有りだったはず)
・研究室の指定有り
・先生の分野と自分の分野は同じ
・悩んだけれど,知らない先生だったのでやめてしまった
・応募者がいなかったらしく,再公募しているようだ

2018/? 公立大
・任期付き助教(5年,再任有りだったはず)
・研究分野の指定有り
・分野は少し違う.研究分野はこちらが合わせる事はできそう
・学会でPIの先生に話をしたら「アナログ回路の人が欲しいんだよね」と言われたので応募を止めた

2018/10 私立大
・任期付き助教(5年,審査後任期無し)
・研究室の指定あり
・分野は近いようで少し違う.研究分野は合わせる事はできそう
・応募後,即連絡が来て即面接,即内定.PIに採用権限があるためらしい

感想
・集積回路系といっても分野が広いので,デジタル回路向けCAD屋さんにフィットする公募は少なく感じた
・IoTとか,デバイスを作る側ではなく使う側の公募は多い?
・もっと多くの国内学会に参加しておくべきだった.知らない先生が意外と多い
・JRecinの過去ログは消えるのでPDFは保存しておくべき
・助教から助教なのは察してください

前回の公募戦線記録はこちら:とある博士学生の助教公募戦線記録

2015年3月5日木曜日

とある博士学生の助教公募戦線記録

これまでに出した公募の結果が一段落したのでまとめてみる.

スペック
・大手私立大卒→国立大大学院
・男
・集積回路系.自称CAD屋
・応募時の業績:論文誌2本,国際会議7本,その他
・学振はとれず
・特に大学にこだわりはなく,J-RECINで自分に合いそうな大学を探して応募した.


2013/10 私立大学(母校だった)
・任期付き助教(5年,再任無し)
・研究分野の指定無し
・応募後,6週間ほどでお祈りメール
・同時期に,研究分野を特に指定する公募(任期5年)と,特任助教の公募(任期1年/5年まで延長)もしていた.

2013/10 国立大
・任期付き助教(5年,再任あり)
・研究室の指定あり
・研究内容は自分の研究テーマとマッチせず
・応募後,6週間ほどでお祈りメール

このあたりで焦りだし,積極的に応募するように.

2014/1 私立大
・指導教員からのツテで話が来た
・任期付き助教(5年,再任無し)
・研究分野の指定あり
・研究内容は自分の研究テーマとは少し異なるが,拡張は可能と判断
・受け入れ先とはある程度順調に話は進んでいたが,卒業が無理と判断,辞退した

2014/4 国立大
・任期付き助教(5年,再任あり)
・研究室の指定あり.受け入れ先と相談した結果,自分の研究テーマを拡張すれば良いと判断
・受け入れ先研究室の情報が不十分で,モチベーションが上がらず結局応募せず.

2014/5 国立大
・任期付き助教(5年,再任あり)
・研究分野の指定あり.受け入れ先と相談した結果,すりあわせればokと判断し応募
・応募後,半年(!)かかってようやくお祈りメール

2014/5 国立大
・任期付き助教(5年,再任あり)
・研究分野の指定なし.受け入れ先にもあらかじめ連絡.
・応募後,2週間ほどで面接.
・面接後2週間ほどで内定通知
・同時期に,研究分野指定の任期付き助教の公募もしていた.

もう一つ指導教員のツテで話が来た公募もあったが,こちらは時期があまりにも先だったのでお断りしてしまった.


感想
・任期付き(5年)が多い.私立大は再任不可も多い.文科省がテニュアトラック制度を推進している事と,後者は正規雇用をいやがるためか.指導教員は驚いていたが,任期付きというのは時代の流れだろう.

・研究テーマを指定された場合において,意外と自分の研究テーマ(集積回路)と合う公募は見つけられなかった.多かれ少なかれ研究内容の軌道修正をしないと受け入れ先の希望に添わない.
# 一方で本年度は集積回路系の助教公募が多い気がする…

・私はラボの博士学生としては平均より下だと思っているが,そのためか助教の公募はだいぶ苦戦した.学振DC1/2取れるくらいでないと苦しいだろう.

・私の場合,いわゆる「教授のツテ」というのはそこまで多くはなかったと思う.

・応募時にあらかじめ先方に連絡した方が良いと思った.多くの方に親切にしていただいた(助教だからかも).

・女性だと有利にすると明言する公募は結構ある.女性しか採用しない物もある.

2019/4/6 追記:助教→助教の公募戦線に参戦しました.
とある助教の助教公募戦線記録

2014年6月27日金曜日

公募戦士になるまえに

2ch理系全般板の公募スレの情報で,公募への応募にあたり以下の2サイトは目を通しておいた方がよいと知った.

大学教員公募についてのメモ
大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベーベー

前者はともかく,後者は情報が散漫しているのでまとめると
・募集はどんどんアプライしろ
・募集内容に合わせて提案書は書き換えろ
・でも平行して研究して業績ないとだめだぞ

企業への就活でもそうだが応募先に応じて研究/教育に対する提案内容は変えるべきで,そんなあたりまえな事を面接の行きの電車で気がつく愚かな事をしてはいけないでしょうねorz