忘れるのでメモ.
・ハードエラー関係
Intel のチップセットのSATAコントローラの動作が徐々に基準を満たさなくなると言う話.確かポート1,2だけは大丈夫で,ポート1,2だけ使う製品(ノートPCとか)は出荷を継続して,デスクトップPCのマザーはリコールして大量廃棄したという話.
ルーターなど組み込みで使われている Atom C2000 が長期起動するとクロックが出なくなって止まるという話.
ソースが無いが,2件ともコアトランジスタに IO 電源をつないでしまったための HCI での劣化が原因と言われていた気がする.
Intel 第13世代,14世代CPU (Raptor Lake系)の動作の不具合(24/05/22追記)
最近(2024年)の Intel CPU 向けの自作 PC 向けマザーボードは電力制限がかなり緩くて CPUの消費電力がかなり高設定( PL1 や PL2 が 253W だったり,無制限になったり)なのだが,そのせいで CPU 自体に不可逆的な劣化が発生してしまうとのこと.Intel は Intel Baseline Profile というのを提供し,これを満たす BIOS を入れると PL1 が 125W,PL2 が 188W などに制限されるらしい.もちろん性能も落ちる.
電圧が原因であれば NBTI,電力や発熱が原因であれば HCI であろうか.
24/10/26追記
Intel によると,想定以上の高温高電圧環境での使用により,クロックツリーのトランジスタが劣化し,その結果クロックのデューティー比が不適切となりシステムの動作が不安定になったとのこと.BIOSの制御が不適切とか,プロセッサの電源管理アルゴリズムが不適切とか,4つのシナリオを挙げている.マイクロコードのアップデートで(これ以上の劣化は)回避できるとのこと.
・ソフトエラー関係
日本語の記事はこちらが詳しい
ECC によって保護されていないため宇宙線による誤動作が多発し,その部分を無効化して性能を猛烈に悪化させつつ使うか,そもそもまともに長時間動かせなくて諦めた,というお話である.
Intel reveals Itanium 2 glitch (23/11/07追記)
「高温下において特定のデータを特定の順番で処理を実施した」時に,システムが不正にシャットダウンし保存データに異常が発生するとのこと.対策として周波数を800MHzまで落とすか,マザーボードを作り替えるか,CPUを入れ替えるらしい.結局何が原因なのかはわからなかったが,状況から考えるとIR-Dropかdi/dtノイズだろうか.
・パッケージ関係
富士通の HDD コントローラ突然死
富士通の HDD に積んだ Cirrus Logic 製のコントローラ LSI がパッケージに起因する経年劣化で死亡するという話.日経では「富士通が製造を委託した」とあるが,がっつり Cirrus Logic のロゴが入っているし LSI チップを買ったようだ.パッケージ材料である住友ベークライトの「EME-U」に含まれる無機リンを構成する赤リンおよびその皮膜が高温高湿下でリン酸になり,それがピンの材料である Ag を溶かし配線を短絡した.
パッケージ起因のソフトエラー
[1] T. C. May and M. H. Woods, “Alpha-Particle-Induced Soft Errors in Dynamic Memories,” IEEE Trans. Electron Devices, vol. 26, no. 1, pp. 2–9, 1979, doi: 10.1109/T-ED.1979.19370.
パッケージに含まれる残留放射性元素がアルファ崩壊したときに放射されるアルファ線が集積回路に突入して生じるソフトエラー.不具合として「システムノイズ」「最低動作電圧」「センスアンプ」「特定パターン依存」など候補があったが,この論文によって放射性粒子起因の誤動作というのが新しい候補になった(?).「ソフトエラー」という一過性の故障や「クリティカルチャージ」という集積回路が"0","1"を反転するのに必要な電荷量の差などが定義された論文みたい.
・コンデンサ関係 (23/02/11追記)
第四級アンモニウム塩を利用したコンデンサが液漏れを起こし電解液が基盤や基板上の部品を腐食させる事故が一時期多発していた.Wikipediaの記事にもなっている.
NEC Tokin のプロートライザが使用中に劣化するらしく,デカップリング容量として採用したノートパソコンの死亡例が一時期よく観察された.腕に自信のある人はプロートライザを剥がしてタンタルコンデンサに入れ替えるらしいが...