2023年4月29日土曜日

研究費と機材とその移管の話

大学教員として活動するためには,様々な研究費を獲得する努力と,必要に応じて大学のポストを転々とせざるを得ない事がある(その証拠に,運営費交付金は右肩下がりだし,任期付きポストも増やすインセンティブがあると聞く).結果的に研究資金と研究機材を抱えて大学間を右往左往する羽目になるのだが,大学や研究契約内容によっては研究資金や研究機材の移管ができず置いて行かざるを得ないケースがある.

正確なことはわかっていないのだが,「研究契約の主体」と「資金や機材の寄付の可否」がポイントなのだろうか.

あくまで私の事例だが,
最初の引っ越し:国立大→私立大
経費:科研費は移管.共同研究費は移管できなかったと思う
機材:科研費,学内経費,共同研究費すべてを「寄付」と言う形で移管

次の引っ越し:私立大→私立大
経費:科研費は移管.共同研究費は移管できず,残るボス先生に移管
機材:科研費のみ移管.学内経費,共同研究費は移管できず(事務的には機材は「私がいた部屋の備品」で教員に所属していないので移管という考えが無い)
面白かったのは,国立大→私立大で移管した機材も,科研費と学内経費の分は移管できるが,共同研究費は移管できなかった事.受け入れはできるが持ち出しはできないの??!?

将来の引っ越し:私立大→???
経費:公的資金は移管できる.共同研究費は移管できない.
機材:公的資金は移管できる.共同研究費は移管できない.
とのことらしい.

任期付きポストでも研究費取って来いよでもいいのだが,任期切れたら持ち出しできませんは勘弁してほしいものよ.

2023年4月27日木曜日

とある助教の公募戦線記録(2)

これまでに出した公募の結果が一段落したのでまとめてみる.検討したけれど出していないものもあげます.

スペック
・男
・集積回路の物理設計よりのCAD屋.回路設計もするよ
・応募時の業績:論文誌6本,レター3本,国際会議20本,その他
・科研費は若手x2,共同研究x2,分担がいくつか
・任期5年再任有りの3年目

こだわったところ
・集積回路設計特にCADに関わりたい
・PIは,私が知っている教員か,外部資金などを取っている教員を希望した
・お金は取ってこれるので地方国立大とかがいいのでは
・理想は関西圏だけれど西日本ならいいかな
・2年間ぐらいかけてのんびり就活する予定だった

2020/? 公立大
・先方のPIから「うちに来ない?」と連絡がきた
・以前も公募があったが学会で「アナログ回路の人が欲しいんだよね」と言われたので応募を止めた所だった
・任期付き助教?
・2018年の公募でお断りされて,転職後に応募してよと言われても….

2021/8 私立大
・教授,准教授,もしくはテニュア准教授,「若干名」
・分野は集積回路全般なので問題なさそう
・前回就活時,学会で「数年後公募あるから応募したら?」と情報をもらっていたので応募
・応募後2週間ほどでお祈りメール
・落ちた理由は業績が足りないとの事 (事後に指摘された)

2021/10 私立大
・講師(任期付),2年+1年x3のようだ.5年が上限
・分野は集積回路全般なので問題なさそう
・英語講義を6コマ担当するとのこと….研究できるのか?
・応募2週間後に面接,ボコボコにされる
・面接2週間後に内々定

2021/10 国立大
・准教授
・分野は集積回路全般,だけど本命は超伝導とか光コンピューティングみたい
・書類出そうと思っていたが,講師が先に決まってしまったので見送った

感想
・意外に教育歴は見られる?面接で「今大学で教えている科目の演習科目やってほしいな」と言われた
・でも「演習科目やってほしいな」は別の先生から「いらん」と言われるなど
・現在の担当科目名だけでなく内容も書いた方が面接の時の議論のネタになるからよいみたい
・JRecinの過去ログは消えるのでPDFは保存しておくべき
・(本公募ではなく)知り合いが受けた公募では,JRecinでは「再任あり」とあったが面接では「再任無し」になったケースがあったと聞いた,で蹴ったらしい
・上げるつもりはないので転職を考えておきなさいと言われています,厳しい(>_<),が業績ないもんな
・准教授ではなく講師(任期付)なのは察してください.着任してから理解したけれどほぼ助教だこれ…

過去の公募戦線ログ

2023年4月26日水曜日

ECS LIVAX2-120 に Linux Mint を入れてVNCサーバーにする

 ただの日記です.タイトル通り,ECS LIVAX2-120 に Linux Mint (XFCE) を入れてVNCサーバーにします.スペックは以下の通り.
・Celeron N3050(1.6GHz、ビデオ機能内蔵)
・DDR3L 4GB
・SSD 128GB
・HDMI 1.4a(30Hz 4K出力対応)、ミニD-Sub15ピン
・Gigabit Ethernet
・IEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0(ただし使えていない)
・USB 3.0×3

元々は Cent OS 7 でこれは後述するネットワークの問題はなかったのだが,Gnome があまりに重たすぎるので軽量めの Linux Mint に移行した.

Windows PC に VNC Viewer を入れて,ポートフォワードで Server に接続する.ネットワーク構成は以下のような感じ.

Windows PC (VNC Viewer)
↓ [ssh]
Linux Mint (VNC Server)
↓ [ssh -X]
計算機サーバー群

直接計算機サーバーに VNC を立ち上げないのは,サーバーにVNCのポートを開けるのが怖い事とサーバーごとに個別に VNC Server を立ち上げなくてすむ利点がある.

Linux Mint 21.1 をダウンロードし,Rufus でブート USB を作成.インストールは普通に実施する.VNC サーバーにするために SSH (oepnssl) と VNC (tigerVNC) をインストールするのだが, 大学のネットワークが複雑すぎてインターネットに到達できない.仕方なく Buffalo の USB WiFi ドングル (WI-U2-433DMS/N) をさして携帯テザリングしようと思ったのだが,ドライバがなくて WiFi が使えない.なので以下のサイトを参考に,Windows マシンで Github のドライバのデータをダウンロードして,Linux Mint 上でコンパイルした.
https://hirotaka-hachiya.hatenablog.com/entry/2020/12/14/184422

WiFi テザリングができるようになったら,SSH と VNC を「ソフトウエアの管理」からインストールする.アプリが入ればインターネットは不要なので, WiFi は消えてしまって構わない.

VNC Server を起動するも X が正常に立ち上がらない.~/.vnc/xstartup を以下のように編集して VNC を再起動する.

def 
export XKL_XMODMUP_DISABLE=1
unset SESSION_MANAGER
unset DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS
/etc/X11/Xsession
/usr/bin/startxfce4 &
/usr/bin/xfce4-session &
/usr/bin/xfce4-pannel &
/usr/bin/xfce4-terminal &

VNC Server の起動はサービスに登録するのがスマートだろうが,過去の癖から手動で起動するようにしている.以下のエイリアスを作成している.Virtuoso を起動するため "-depth 24" で色解像度 24bit を指定する.
alias vncserver4k="vncserver -geometry 3800x2000 -depth 24"

すべての準備がすめば Windows PC で以下のバッチファイルを作成して,ポートフォワードと VNC Cliant を起動する.
start /b cmd /c "C:\PROGRA~1\PuTTY\putty.exe -load liva -l [userID] -pw [userPW]"
timeout 30
start /b cmd /c "C:\PROGRA~1\UVNCBV~1\UltraVNC\vncviewer.exe -connect 127.0.0.1::5901 -nocursorshape -notoolbar -noauto -password [userPW] -8greycolors"
timeout は SSH セッションが成立するのに時間がかかるが予測がつかないので少し長め,接続を確認したら手動でスペースを打って次に進めている.パスワード平文で保存しているのでセキュリティ的には危ないかもしれない.

Celeron N3050 は今となってはゴミかもしれないが,シンクライアント的に使うにはまあ十分かなぁ.4KのVNCもなんとか使えてる.ただしCADのログファイルがガンガン Terminal に出力されると途端にカクカクし始めるけれど...