2022年9月13日火曜日

ランダウアーの原理と集積回路のエネルギー

ランダウアーの原理で盛り上がっていたので調べてみた.

ランダウアーの原理:情報を1bit消去するために必要なエネルギー:k T ln2
k: ボルツマン定数,T:絶対温度

室温だと E_landauer = 1.38e-23 JK-1 * 300K * ln2 = 2.87e-21 J

intel Broadwell-U が13億トランジスタで,ざっくり半分がコア,半分アンコアとしてコア部を構成するのは6.5億トランジスタ,これをざっくり NAND2 換算すると1.4億ロジックゲート,すべての NAND2 で1サイクルあたり 1 E_landauer を消費するとして,サイクルあたり4.02 e-13 J,3 GHz で動いて 1.2e-3 J/s = 1.2 mW といったところ.TDPが15W なので,ランダウアーの原理で消費するエネルギーは全体に比べて1万分の1程度である.

今の集積回路のエネルギーはトランジスタのゲート容量や拡散配線などの寄生抵抗容量で構成されていて,仮に「寄生」成分がない理想的な状況であっても (CMOS) トランジスタのゲート容量は本質的に必要なので,ランダウアーの原理がコンピュータの消費エネルギーを支配する事は当分はなさそう.

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