これまでに出した公募の結果はまだ一段落していないけれどまとめてみる.検討したけれど出していないものもあげます.
スペック
・男
・集積回路の物理設計よりの CAD 屋.回路設計もチップ設計もするよ
・応募時の業績:論文誌9本,レター3本,国際会議34本,その他
・科研費は若手x2,共同研究x4,分担が科研費とか共同研究などでいくつか
・任期2年+1年x3再任有りの3年目.肩書きは講師だけれどほぼ助教だこれ.(英語の肩書きは"Assistant Professor (non-tenure-track)"だ)
こだわったところ
・集積回路設計,特に CAD に関わりたい
・お金は取ってこれるので地方国立大とかがいいのでは,と思っていたけれど大小問わず国立大学は経営も厳しいし任期制で揉めているし私大の方が現実的か.(実際自分も被害にあったし)
・西日本ならいいな
・ボス先生の「次の職探しなさいよ」というプレシャーをのらりくらり躱しながら3年ぐらいかけて転職するつもりだった
2023年前期 国立大1
・先方の大学の先生から「公募やっているので是非うちを受けてください」と教えていただく.
・トランジスタレベルの回路設計を教えられる人を探してるらしい.
・しかしこちらの事情で応募する気持ちにならなかった.
・無事にいい先生が見つかった.ご迷惑をおかけしなくて良かった.アナログ回路の専門家だったのでドンピシャだったと思うし,私が応募しても到底太刀打ちできなかったと思う.
2023年12月 国立大2
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援2」
・JRECIN で再公募していたので応募.多分通らないだろう.
・知らない先生ばかりなのがネック.
・年始に書類で落ちたと連絡をいただく.
2024年1月 公立大1
・JRECIN で再公募していた.今ボス先生の卒業したラボの後輩の先生がいるらしい.
・今までお世話になったことの無い土地の公立大か,と思ってしまい結局応募しなかった.
・友人が応募していて,4月に着任していた.すばらしい.
2024年6月 国立大3
・JREC-IN を見て応募する直前まで至った.
・「通信工学」と「電子機器」を教える事が求められており,シラバスを読むと前者はフーリエ変換,後者は電力変換装置で実務家の方が担当しており,前者はともかく後者は教えられないのでは?と思って諦めてしまった.
・大学とは直接関係ないけれど旅行のたびに地元の人々の温かい様相に驚かされる.コレが幸福度上位県の力か….
2024年6月 国立大4
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援2」
・JREC-IN を見て応募.8人(!)募集していた.
・メール応募したら正式な送付先では無く「問い合わせ先」に送っていたらしい.問い合わせ先からは何も返事なく,締め切り10日ぐらい経って自分が気づいて正式な送付先に連絡した.「正式な送付先では無かったけれど,問い合わせ先に送っていたことが確認できたので受け付けます」とのことだった.大変申し訳ありません...
・応募後2ヶ月後に面接の連絡.(あまりに遅くて落ちたと思っていた)
・面接は9月頭.研究内容20分,模擬講義10分(英語),Q&A30分.
・英語の模擬講義だがすっかり忘れてスライド日本語で作ってしまった….発表5分前に気がついたのでスライドそのまま英語アドリブで強行してしまった.
・研究の柱が少ない事,物理設計寄りの CAD 屋さんなのに工場にアクセスできていないのは厳しい事,企業との共同研究・競争的資金獲得が弱いことなど指摘された.あと分野外の人に伝わる説明にできていないと指摘されてしまう.
・先にあった私大↓の時とは異なり,全力で受け答えできたか怪しい.落としたときに悪く思われないように優しく面接されている気遣いを感じた….
・会場入り口に「受付」があったのだが,机の上に紙に5人分ぐらいの名前とおぼしき物が.
・10月頭に非公式ルートで採用されたという噂がくる.公式は??ボスに報告したら別の先生に教えてもらっていたから知ってたって.公式は????
・先方の先生からの連絡は12月下旬,事務からの連絡はなんと1/31でござった.事務からの連絡は遅すぎて先方の先生もびっくりしていたみたい.
・2回でかいヤラカシをしていて事務能力皆無をアピールしてしまったのに,良く採用したな….
2024年7月 私立大1
・公募書類には書いていないが「大学・高専機能能力強化支援2023年支援1」
・JREC-INを見て応募.新学科を作るとのことで,3分野3名を募集していた.
・知らない先生ばっかりなのがネック.
・応募後1週間で面接の連絡.面接は8月末.抱負20分+模擬講義10分+Q&A30分(実際は40分ぐらい).
・一番バッターなのに時間になっても始まらなくてかなり焦る.(5分ぐらい遅れた)
・ボコボコにされ,立ち向かってまたボコボコにされた様な感じ.
・模擬講義にて:「なんでAから説明したの?うちの学科ではBから説明するのだけれど(新設学科で「うちでは」と言われましても)」「Bについてxxとかyyはわかる?(普段使いしていない未予習項目について聞かれましても)」
・「仮に採用された場合,応募者が本学に望むものはありますか」という質問がでたのが興味深かった.
・私の応募した分野の候補者は2名だった(他は3名).先方の致命的ミスでちらっと候補者のお名前が見えた….こういうコトされるとこちらも心穏やかに面接受けられないし結果も受け止められないなぁ.模擬講義のテーマから察するに私は本命ではなくてキープ君ってことだし…?
・10月頭にお祈りメール.
2024年8月 国立大3
・「2024年6月 国立大3」の再公募がかかっていた.
2024年9月 国立大4
・「2024年6月 国立大4」の再公募がかかっていた.
・教授,准教授,助教若干名(3名)とのこと.
2025年x月 公立大2
・「大学・高専機能能力強化支援2023年支援1」
・かなり注目をしていたのだが,学部新設があるからか進展がない….新学部作る場所で議会と揉めて開設を1年遅らせているし.
・中の人に「公募かかったら応募しますよ」という話をしていたのだが,結局「国立大3」が先に決まってしまった.
・揉めて開設を遅らした議会が悪い.
2025年3月 国立大4
・「2024年9月 国立大4」の延長がかかっていた.
・教授,助教 (2名)とのこと.どれだけ人が集まらないんだ….
感想
・理工系の教員公募は多かった.これは国の施策で理系学部の新設や文系学部からの転換を支援しているとのこと.「大学・高専機能能力強化支援」というものだ.
・論文数は重要.独りでコツコツ研究していても論文数は伸びないので,チームを組んで研究をしていかないとこの先生きのこる事は厳しいと思う.前職では採用時及び任期更新の度に「君の業績では次の就職先を見つけるのは相当厳しいぞ」とボコボコに言われていた.
・教員が筆頭で論文を書く是非については意見が分かれる.私は教員が筆頭で論文を書くのは学生指導をしていないと同義で情けないことだと思っている.一方で,任期付き教員に指導される学生は教員が転出すると指導者がいなくなってしまい相当かわいそうなので,任期付き教員に学生指導させるのは悪手だと感じている.デッドロックだ.どうしたらええんや.(全部任期付き教員制度があかんのや)
・Web of Science,Scopes に掲載されている本数を書かせる公募も多い.T-SLDM は掲載されていないから投稿するのはお勧めできない.IEICE Trans. は投稿しても大丈夫.
・採用の条件に引用数を重視する所も.論文自身の h-index や g-index,論文誌のインパクトファクターなど.ドメスティック論文誌は数値が小さかったりそもそも数字が無かったり.ツライ.
・競争的資金は筆頭のみ記載させる公募も多い.なので転出する可能性の高い若手を筆頭にしたほうが業績としてはよい.教授が筆頭になって助教が実務を担当するのはつらすぎるのでやめてね….
・前職の先生曰く,業績はもちろん見るけれど,模擬授業の質によって順位が繰り上がることもあるし実際繰り上がったこともあるそうだ.大学や学部のポリシーにもよるだろうけれど,模擬授業も大切かも.
・大学によっては Word のフォーマットが謎すぎて仕事量が多かったり.一種の参入障壁では.
・Web 応募,メール応募に対応している大学が多かった.DX だ.簡易書留で応募書類+論文5本とか送ると送料が1000円超えてくるからありがたい(昔は別刷りすべてを箱に詰めて送ったとも聞く). 来校が厳しかったら Web 面接しますと言われたこともあった.対面で出かけたけれど.
・個人的に,県立市立大学,私立大学はその地域への貢献を考えてしまうので,応募に躊躇してしまう.
・あくまで小手先のテクニックだけれど,大学や学科の理念,長中期目標,関連するキーワードを応募資料・発表資料に混ぜ込むのも手かもしれない.模擬講義では関連講義との繋がりを説明するのも手かもしれない.これは普通の就職活動も同じだな.
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